研究紹介

ここでは、取り組んでいる研究の内容を紹介します。

本研究室では、信号処理の基礎理論に関する研究に取り組むとともに、それらを基にした画像処理への応用に関する研究・開発に取り組んでいます。特に、MPEGやJPEG等の国際標準など世界的な動向をにらみつつディジタル画像・動画像の圧縮技術に注力しています。また、ロボットの制御に画像処理で得られた知見を利用する研究にも取り組んでおり、様々なセンサーに加えてカメラを用いることでより精度の高い動作をさせています。

多次元周波数変換

信号処理の基礎技術である周波数変換、特に信号列を帯域毎のその周波数成分に変換するフィルタバンクを研究しています。近年では、対象となる信号がディジタル画像や動画像など2次元や3次元の多次元信号が主であり、それにともなって多次元周波数変換に注目があつまっています。
本研究室では、方向性を有する多次元周波数変換に関する研究に取り組んでいます。信号が多次元へ拡張されると周波数成分だけでなくその信号列の方向性(どちらの方向へ滑らかに/激しく変化しているか)を解析する必要があります。それらは様々な応用において有用であり、例えば画像圧縮では滑らかに変化する方向に沿って変換を行えばエントロピーが低下し、効率的に圧縮ができるなどの利点があります。本研究室では、周波数変換の次元拡張や解析できる方向の増加などを目標として新たな変換手法を研究しています。

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図1 (左)原画像,(中央)JPEG圧縮画像,(右)方向変換による圧縮画像

 

HDR画像処理

高ダイナミックレンジ(HDR)画像と呼ばれる新しい画像形式に対する処理技術を研究しています。HDR画像とは、取得している輝度の範囲が従来の画像より広く、人間の見たままに近い表現ができる鮮明な画像である。2016年には、HDR画像の符号化方式JPEG XTが策定される予定であり、その美しさから今後普及が予測される。
本研究室では、HDR画像処理に関して圧縮方法である符号化と従来の画像を複数枚用いてHDR画像を生成するHDR Imaging、HDR画像を出来る限り画質を保持したまま従来画像に変換するTone-mapping(TM)を研究しています。

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図2 (左)従来画像,(右)TMしたHDR画像

 

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図3 HDR Imaging.(上段)入力従来画像,(下段)TMした生成HDR画像

 

重要物体抽出

ロボットの目としての応用を見据えて、画像から人間が見て重要と認識されるであろう物体を抽出する重要物体抽出(Salience-Object Detection)を研究しています。各画素の色や隣接画素との差などから重要度を大まかに推定し、一方でスーパーピクセルと呼ばれる画像を似た画素を集めた小領域に分ける技術を用いて物体を切り分け、両方の結果から重要物体の抽出を実現しています。
本研究室では、重要度推定とスーパーピクセル化の両方に取り組んでいます。前者においては抽出した後の処理を踏まえて状況に応じた推定精度の向上を目指し、後者では高速かつ物体の境界にきちんと沿った切り分けを目指しています。

物体抽出

図4 重要物体抽出アルゴリズム

白線劣化度検査

本研究室では、受託研究としてドライブレコーダーから取得した動画像から、白線部分を自動で抽出しその剥離度合いを算出する検査技術に取り組んでいます。それは、道路上にある白線領域の抽出、画素の色から剥離度を計算しています。これにより、走行するだけで修繕の必要がある剥離箇所の位置が特定できるので、検査作業の効率化および低コスト化が達成できます。

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図5 (左)入力動画像,(右)出力結果

 

自動走行ロボットのための自己位置計測

本研究室では、自動走行ロボットが自身の正確な移動量を把握するために、ロボット下部に設置した地面方向カメラを用いて、単位時間あたりの移動量を計測する技術に取り組んでいます。画像を用いることで、外乱による横ズレ等にもロバストでありGPS等が計測できる以上の精度での移動量推定を目指しています。本手法は、移動前後の画像を取得し両者に共通する特徴点の移動量を計算することで実現しており、撮影領域を保護した地面方向カメラを用いることで特徴点が風などの外乱で変化しないようにしています。また、砂上や雪上などの特徴点が算出しづらい環境に対応するため、色の異なるライトを別方向から照射して地面の凹凸を効率的に撮影し利用する研究に取り組んでいます。

オドメトリ

図6 自己位置計測の概要